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第四回:X線CT+X線CT-チョコボールを透過

株式会社 FRPカジR&Dセンター メールマガジン

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◇◇   技術評価受託の活用法と解説   ◇◇

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2024年1月15日

 

 

第四回:X線CT+X線CT-チョコボールを透過

 

 

<目次> ─────────────

 

・R&D所有設備紹介+動画

 

・X線作業+動画

 

 

<R&D所有設備紹介+動画>  ─────────────

 

・今回の紹介する設備仕様

産業用X線CT(コンピュータ断層撮影装置) NAOMi-CT 002L(アールエフ)

 

〈X線CTとは何か〉

 

弊社所有のX線CT NAOMi-CT 002L(アールエフ)では、

装置中央の回転テーブルに被写体を載せた後にX線を照射することで、

約400枚のX線透過画像を回転撮影します。

このようにして撮影した画像から3D画像を再構成し、縦・横・斜めで自在に断面を観測することができます。

 

産業用のX線CTでは医療用と異なり、被写体が人体でないため被ばく影響を考える必要がないため、高出力のX線を使うことが可能です。

X線を高出力にできれば、高密度のものや、大型の被写体の検査も可能になるメリットがあります。

 

人を被写体とするX線CTでは被写体(人)を回転させることが難しいため、X線装置自体が回転する機構が一般的ですが、

産業用のX線CTでは被写体自体をターンテーブルの上に設置し、回転させる機構となります。

 

撮影できる領域はスキャンモードによって異なります。

最も解像度を上げたパーシャルスキャン、広範囲の観察を目的としたオフセットスキャン、

両者の中間であるノーマルスキャンという主に3つのスキャンモードがあります。

これらスキャンモードについて、観察範囲と画素サイズの概要を示すと以下のようになります。

 

・パーシャルスキャン:φ68 × H38~49mm / 画素サイズ:0.083mm

・ノーマルスキャン:φ146 × H153〜185mm / 画素サイズ:0.16mm

・オフセットスキャン:φ251 × H130〜185mm / 画素サイズ:0.24mm

 

また、撮影した画像から任意に指定した範囲での空洞(ひけ巣、空孔)を検出し、被写体と空洞との体積比の比較をソフトウェアによって行うことが可能です。

これにより、人の目で見逃した空洞を検出する等、抜け漏れを最小化した検査を実現できます。

 

 

〈実際の使用例・活用法〉

 

FRP成形物の品質を検討するにあたって最重要なのは、最終破壊につながる層間剝離の原因(起点)となる内部欠陥です。

非破壊検査技術であるX線CTを活用するのは、外見から見えないこの内部欠陥の検出です。

 

一番精度の良いオフセットモードで撮影しても、非常に薄い形状である層間剝離をX線CT画像データから捉えることは、弊社所有の設備仕様だと難しいですが、

ある程度の体積を有する空洞(ひけ巣、空孔)などは0.2mm程度以上のサイズであれば、

検出可能です。

また、スライスピッチ(スライス厚)から逆算し、内部欠陥位置を割り出すことも可能です。

 

弊社ではX線CT検査技術を、当社が成形したGFRP製品の検査に活用しています。

弊社で採用するGFRPの成形法の一つである「ハンドレイアップ法」では、手作業でガラス繊維に樹脂をハケやローラーで含侵させ、脱泡しながら積層します。

しかしこの工程では、ボイド等の空洞はある程度残存します。

 

X線CT による非破壊検査をGFRP製品に行うことで、

内部欠陥の位置とサイズを正確に把握することが可能となります。

結果、GFRP成形体の成形品質を理解できます。

 

当社ではこのようにして得られた検査結果を活かし、

成形工程の改善、品質向上に取り組んでいます。

 

 

・ R&D所有設備動画(画像)のURL

 

 

<X線CTによる検査作業+動画>  ─────────────

 

〈X線CTによる検査作業のコツ〉

 

1. X線CT の装置中央回転テーブルに測定物をセットして蓋を閉めます。

測定物の形状が転がり易い(例えば円筒形状等)ものは、

スポンジやアクリル製の固定具を使用して押さえます。

2. 撮影モードを選択します。動画中では測定物のサイズからノーマルモードを使用しています。

3. 感電圧、電流、露光時間を選択します。材質、形状、サイズによって設定が異なります。

4. 開始ボタンを押します。必ずガイガーカウンターを使用して放射線量を測定します。

5. 撮影されたX線CT画像のヒストグラムと画像コントラストを修正します。

測定物が真っ白に表示されている場合、高コントラスの状態となります。暗い場合は低コントラスト状態です。

被写体の輪郭が識別できる色調かつ明るすぎず暗すぎないように調整することが重要です。

6. 空洞検出を行うためには、撮影時にDICOMデータを作成するようあらかじめ設定します。空洞検出を行わない場合、DICOMデータはデータ量が重くなるため作成しません。

7. 「空洞検出」ソフトウェアを起動し、撮影したDICOMデータを開きます。

8. 上記工程5を行い、なるべく多くの空洞が確認できる位置にスライス位置を移動させてから、メイン画面の「始める」ボタンをクリックします。

9. 検出ウインドウが開き、輪郭、空洞が赤色で表示されます。空洞がより見やすくなるよう赤色濃淡の最大最小の範囲を絞り、検出パラメータ(CT値)を変更します。

これにより、検出結果が表示されます。検出結果の概要を示すと以下のようになります。

・体積比=測定物に対する空洞の比率

・空洞数=検出された空洞

・ボクセル数=空洞をボクセルで表した値

 

〈本検査技術の応用例〉

 

撮影されたCT画像はヒストグラムと画像コントラストを細かく調節することが出来ます。

見やすくさせたい箇所をピックアップし、色の濃淡を調整することも可能です。

 

表層のみ損傷した例えば燃焼試験後の被写体について、

表層からスライスすることでどこまで損傷が進行したかを、

画像によって検証できます。

 

本結果については、当社HPでも技術レポートして公開しています。

 

・X線CTを用いた燃焼試験後のGFRPの観察

「難燃性材料を用いたFRPの表面燃焼試験法/JIS A1321による評価」技術資料_ENG-REPORT-019

「難燃性材料を用いたFRPの表面燃焼試験法/JIS A1321による評価」技術資料_ENG-REPORT-019

 

・上記の概要に該当する動画のURL