株式会社 FRPカジR&Dセンター メールマガジン
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◇◇ 技術評価受託の活用法と解説 ◇◇
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2025年3月17日
第十八回:碁盤目試験テスター+Autodesk Fusion 360-プレス/プル-フィレット
<目次> ─────────────
・R&D所有設備紹介+動画
・モデリング技術+動画
<R&D所有設備紹介+動画> ─────────────
・今回の紹介する設備仕様
碁盤目試験テスター ZH-490(Hanchen)
〈碁盤目試験テスターとは何か〉
碁盤目試験テスター ZH-490(Hanchen)は、材料や製品の表面コーティングの付着性(密着性)を評価するための試験装置です。
この試験テスターは、主に塗装やコーティングされた表面が基材にどれほどしっかりと付着しているかを確認する目的で使用されます。
切り込み幅(刃の間隔)は規格化されており、ISO 2409またはASTM D3359などの国際標準規格に準拠しています。
主な仕様ついて示すと以下のようになります。
切り込み間隔:1.0mm、1.5mm、2.0mm、3.0mm
切り込み間隔は試験する塗膜の厚さや基板の種類に応じて選択します。
対応塗膜厚:
1.0mm間隔:塗膜厚 0~60μm
1.5mm間隔:塗膜厚 60~100μm
2.0mm間隔:塗膜厚 100~200μm
3.0mm間隔:塗膜厚 200μm以上
基板種類:金属基板、プラスチック基板、SISI基板(特殊塗装基板)など
推奨試験基準:ISO 2409およびASTM D3359の塗装の密着性評価方法に準拠
付属品:保護ケース、替刃、粘着テープ(試験用)
寸法:テスター本体:200mm×50mm(全長×幅)
重量:約300g
〈実際の使用例・活用法〉
基本的な測定方法
1. 切り込み作業
付属のカッターを用いて、塗装やコーティングされた表面に碁盤目状(縦横に交差する線)の切り込みを入れます。
2. 粘着テープによる試験
切り込み部分に粘着テープを貼付け、粘着テープを引き剥がします。
3. 剥離状況の評価
塗装が剥がれた範囲を目視または基準表で評価します。この基準表では密着性を6段階(クラス0~5)で評価します。
FRPは、外観の改善や耐薬品性の向上を目的として表面に塗装を施す場合があります。
しかし、FRPを成形時に使用される添加剤(例:パラフィン)は、塗装の密着性を低下させる原因となることがあります。
このような問題を改善するため、塗装前の処理として、「ケレン」と呼ばれる作業を行います。
一言でケレンと言っても、種類は色々ありますが、ここでは塗装対象の表面に微細な凹凸を付ける、目粗しというケレンを指します。
特にFRP引抜材では、マトリックス樹脂に離型剤が混錬されているため、
一般的なケレンでは十分な密着性が得られない場合があります。
そこで当社では、一般的なケレン作業と同等の塗膜密着性を確保しつつ、
作業工程を簡略化した「特殊ケレン」を独自に開発しました。
今回、この特殊ケレンの効果を評価するため、「碁盤目試験テスター」を用いた塗膜密着性試験を実施しました。
試験対象として、国内外のFRP引抜材および一般的なFRP成形材を使用し、
特殊ケレンの有効性について検証を行いました。
試験では、各サンプル表面に碁盤目状の切り込みを入れ、テープによる剥離試験を行って評価しています。
【試験内容】
塗装前の表面処理
特殊ケレン(自社開発の簡易処理)、一般ケレン(通常の研磨処理)、表面処理無しの3水準でFRPサンプルを準備。
【塗膜密着性の評価】
ASTM D3359に準拠したクロスカット法を使用。
碁盤目試験テスターを用いて切り込みを入れた後、粘着テープで剥離試験を実施。
【結果】
特殊ケレンは一般ケレンと同等の塗膜密着性を示し、工程の簡易化が期待できます。
海外製引抜材は日本製引抜材や一般FRP成形材に比べ、塗膜密着性が劣る傾向が確認されました。
表面処理を行わない場合、塗膜の密着性が著しく低下するケースが見られました。
このような試験結果を活かし、今後もFRP製品の塗装技術向上に貢献していきます。
「FRPへの塗装密着性に対する塗装前表面処理の影響」技術資料_ENG-REPORT-011の記事はこちら。
・ R&D所有設備動画のURL
<モデリング技術+動画> ─────────────
〈モデリング作業のコツ〉
Autodesk Fusion 360-プレス/プル-フィレット
1. 画面上部の 修正(Modify) メニューから プレス/プル(Press/Pull) を選択。
2. 3Dモデル上で、プレス/プルしたい「面」または「エッジ」を選択します。
3. 選択内容によって、動作が変わります。
面を選択:その面をオフセットする(外に押し出す、内に押し込む)。
エッジを選択:基本的にはエッジ周辺の面がオフセットされる形で変形されます。
4. 数値またはドラッグで量を決める
マウスのドラッグまたは数値入力でどのくらい押す/引くかを指定します。
ジョイン(Join)、カット(Cut)、新規ボディ(New Body) など、操作の種類も選択可能です
5. OKで確定します。
プレス/プルとフィレットの違い
プレス/プルはあくまで「既存の面・エッジを押したり引いたりして形状をオフセットする」機能であり、
エッジを丸める「専用機能」ではありません。
エッジに対してプレス/プルを行うと、面のオフセット量によっては結果的にエッジ近辺に丸みのような形状変化が生まれる場合もありますが、
正確なR面(フィレット)とは異なる場合が多いです。
・本モデリング技術の応用例
複雑形状の仕上げ
カーブを多用した複雑な形状や、追加で細かい凹凸を作りたいときに、
プレス/プルで調整してからフィレットを部分的にかけると、設計の柔軟性が上がります。
・上記の概要に該当する動画のURL