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第二十二回:単角度光沢計+SolidWorks-シェル・面取り

株式会社 FRPカジR&Dセンター メールマガジン

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◇◇   技術評価受託の活用法と解説   ◇◇

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2025年7月13日

第二十二回:単角度光沢計+SolidWorks-シェル・面取り

 

<目次> ─────────────

 

・R&D所有設備紹介+動画

 

・モデリング技術+動画

 

<R&D所有設備紹介+動画> ─────────────

 

・今回の紹介する設備仕様

単角度光沢計 YG60S(3NH社)

 

〈単角度光沢計とは何か〉

 

光沢計(Gloss Meter) は、試料表面に光を照射し、正反射してきた光量を測定することで

“どれだけツヤツヤ (Glossy) か” を数値化する装置です。

測定光を当てる角度(照射角度)によって「20 °・60 °・85 °」など複数の幾何条件がありますが、

YG60S は最も汎用性が高い 60 ° 単角度 に特化したハンディタイプの光沢計です。

 

以下にその仕様と特徴を詳しく説明します。

 

測定角度:60 °(単角度)

測定範囲:0 – 1 000 GU(グロスユニット)

分解能 / 再現性:0.1 GU / ±0.2 GU(0–100 GU)

校正:標準黒ガラス(鏡面 93 GU 付属)によるワンタッチキャリブレーション

受光部開口:9 mm × 15 mm

表示 / 記録:カラーLCD、最大 1 000 件の測定データを本体保存/USB 取出し

 

GU(Gloss Unit)とはISO 2813/ASTM D523 で定義される“光沢度”の単位です。

ツヤを数値化し た“点数”のようなもので、60°測定の場合、標準黒ガラス(屈折率 1.567)を 100 GUとした相対値です。

 

光沢レベルの目安

超つや消し:0 – 10 GU(例:黒板、マット塗装)

つや消し:10 – 40 GU(例:壁紙、コピー紙)

半光沢:40 – 70 GU(例:家電外装、家具塗装)

高光沢:70 – 100 GU(例:自動車ボディ、ピアノ塗装)

鏡面級:100 – 1 000 GU(例:クロームメッキ、鏡、光学フィルム)

 

 

〈実際の使用例・活用法〉

 

FRPは軽量・高剛性・耐薬品性などの利点から幅広い産業分野で採用されていますが、

破壊挙動が層間で進展するため外観要件が課せられないケースが大半です。

一方で、「もう少しツヤが欲しい」「マット過ぎて高級感が足りない」といった感覚論による要求が多く、

図面に落とし込める定量基準がありませんでした。

そこで当社では、YG60Sを用いて光沢度(GU)がFRP外観評価の指標として成立するかを検証しました。

試験では、ゲルコート仕上げ平板の研磨条件を変えた複数サンプルについて60°測定を各9点行い、

得られたGU値を比較・分析しました。

結果、GU値はFRPの外観グレードを客観的に示す「第一候補」の指標になることがわかりました。

さらに公差設定のために統計解析(k-Anderson Darling検定、Levene検定、回帰分析)を実施し、

光沢度の公差は検出確率80%で±43.7 GU、98%で±73.8 GUであることを明らかにしました。

これらを公差設定の判断基準としています。

 

試験レポートは下記技術資料で公開しています。

 

技術資料 ENG-REPORT-007 rev.1

「FRP外観定量評価に対する表面粗さと光沢度の評価指標 適合可否検証」

「FRP外観定量評価に対する表面粗さと光沢度の評価指標適合可否検証」技術資料_ENG-REPORT-007 rev.1

 

技術資料 ENG-REPORT-008

「FRP外観評価指標である光沢度の公差設定に向けた回帰分析」

「FRP外観評価指標である光沢度の公差設定に向けた回帰分析」技術資料_ENG-REPORT-008

 

今後もデータ蓄積とモデル更新を重ね、より実情に即した公差設定を進めてまいります。

このような定量的アプローチが、これまで「感覚論」頼りだったFRP外観要件の明文化・数値化に貢献すると確信しております。

 

・ R&D所有設備動画のURL

 

 

<モデリング技術+動画>  ─────────────

 

〈モデリング作業のコツ〉

SolidWorks-シェル・面取り

1.      完成した3Dボディを選択します。

2.      「フィーチャー」タブ → 「面取り」をクリック。

3.      エッジ(角)を選択。

面取りのタイプを選択:

・距離 × 距離:指定距離で二辺を斜めにカット

・距離 × 角度:距離と角度で傾斜を指定

・対称面取り:両辺に均等な距離で面取り

4.      数値を入力(例:1 mm × 45°)。

5.      「OK」で適用

 

・本モデリング技術の応用例

たとえば「箱型の容器」に対してシェルで内側をくり抜き、

上部の縁に面取りを加えることによって、手に触れても安全な構造になります。

また、面取り失敗として、複雑な交差や小さなエッジでは面取りが適用できないことがあります。

フィレットとの違いについては、面取りは直線的な傾斜、フィレットは丸み。用途に応じて使い分けが必要です。

 

 

・上記の概要に該当する動画のURL